ヨガの先生の言葉

昨日の最高気温が28℃だったのに、今朝は10℃!
いきなり秋がやってきてきっとこのまま冬になる上海からこんにちは。


すみません、最初にお断りしておきます。
今日のエントリは、ヨガをやらない方にとっては、
全く意味の分からない内容かもしれません。


私がヨガを初めてやったのは2003年8月だったと記憶しています。
スポーツクラブのヨガクラスに入ったのがきっかけでした。
日本ではハタヨガやパワーヨガを中心にやって、たまにアシュタンガヨガの
レッスンやワークショップに参加という感じでした。


それから6年かあ。
もちろんその間も取り組み方の濃淡はあったし、今もそんなに真面目なヨギ
ではないけれども、何はともあれ、細々ながら長く続いててびっくりです。


去年上海に来て1週間以内にヨガスタジオの会員になった私。
中国語もままならないのにようやったなーと今になって思います。
でも、どうしてもヨガは続けたかったんですよね。
去年はフローヨガを中心にやっていましたが、以前ここにも書いたように
今年の春から、アシュタンガヨガに重点を移しています。


主に習っている先生は英語圏の方なのでレッスンは英語で行われますが、
先生、有り難いことに分かりやすいようにゆっくり話してくださいます。
それでも分からない時あるけど。


ヨガの説明って日本語で言われても急には良く分かんないこともあるので、
100%分からなくてもあまり気にしないようにしています。
別に先生の言うことを疎かにしてるわけではなくて。
後で「あ、そういうことか!」って分かることもあるし。
説明内容についてうんうん考えるよりも、とりあえずその時は、先生の呼吸を
聞いたり動作を見ることに集中した方が良い時もあるし。


でも、そんな状態の中でも先生はいろいろ名言残しまくりで、
忘れちゃうともったいないので、ここらでメモを残しておこうかと。
訳は私の超訳ですので悪しからず。

「私はヨガを始めた年齢で、年齢がストップしているのよ」

これは昔、村上春樹が走ることについて同じようなことを書いていて、
私はこの言葉を信じて27歳の誕生日1か月前にジム通いをスタートさせたので、
先生も同じことを言ってくれてとても嬉しかったです。
私は永遠に26歳だ!

「私のレッスンに来る時にはペットボトルを空にして来なさい。
そうでなければ、ちょっと中身を減らして来なさい」

比喩ですよ、比喩。
そもそもアシュタンガは途中でお水飲んじゃダメ。
「体内でせっかく燃やしている火を水で消す」ってことになるそうです。


今まで他の先生からヨガを習ったり、他のヨガを習ったことがある生徒さんも
多いのですが、これまで習ってきたことにぐぐっと固執していると、せっかくの
先生のアドバイスが頭と体に入って行かないですもんね。
頭も体もオープンにしなくちゃ。
アジャストだって「いらっしゃいませ〜」って感じで受けましょう〜。


「都合が悪くて私のクラスに入れず、他の先生のクラスに入ることもあるでしょう。
でもそれでもいいのよ。自分で大切なことが分かっていれば、自分の練習ができます。
(他の先生の指導は適当に聞けと言うことか(笑))
でも、レッスンに入ったら、その先生に敬意を表す必要があります(困)」


えーー!どうしろっていうんですか、先生!って感じなんですが、
まあペットボトルの水を少し減らしていけばいいんでしょうね。
ほどほどにな、ってことですな(笑)
※同じヨガでも先生によってメソッドはかなり違ったりします。

yoga is journey.

ヨガは旅。
一生ヨガをやり続けることの比喩かな?と思ったけれど、
それだけではなくいろんな旅があるという先生。

体と心をつなぐ旅

アサナ(ポーズ)だけきれいにできてもマインドがないヨガは空っぽ。
それはヨガじゃない。ヨガは筋トレじゃないのよ。
これは多くのヨガの先生も言うことだから、とりあえず今日はさらっと。

flexibleとstrongの間を行ったり来たりする旅

ちょっと面白かったのがこれ。
先生は、特にアジア女子がflexibleへの執着が強いように思う、と言います。
(私は、中国人>日本人、男子>女子だと思う。ちなみに先生は日本に行ったことがない。)


最初から体が柔らかいよりも、最初固くて少しずつ柔らかくなっていく方がいい。
ココっていうところで体を止められる筋肉、強さを持っていないとダメなのよ。
それが良く分かっていない柔らかい人が良くケガするのよ。
ここまで行ける、止める強さを養う、もっと行く、もっと強くなる。
こんな風にflexibleとstrongの間を行ったり来たりしながら深めていきなさい。


なるほどなあと思いました。


「でもやっぱりなんだかんだいってビンヤーサをたくさんやるから、
アシュタンギ(アシュタンガヨガをする人)はstrongになるね!」


(参考)strongの例。

新郎を締めようとしているのではなく、ブートニアの位置を調整しているだけです…。

「そんなにつま先を愛してるの?」

「アシュタンガはケガをしやすいって」言う人がいっぱいいるけど、それは間違いよ。
やり方が間違ってるの!
膝や肘をロックしちゃダメ!クラシックなメソッドでは良くやってるけど、今はやりません。
それから、できないアサナをスキップしちゃ絶対ダメなのにやっちゃう人がいっぱいいるの。
全てのアサナは後に出てくる難しいアサナの準備なのよ。
簡単なアサナが完璧にできれば、後のアサナは絶対できるの。
(私はこの言葉を以前は信じていなかったんだけれど、今はそう実感するようになりました。)
とにかくアサナにとらわれ過ぎな人が多いのよ。
みんな、そんなにスネやつま先を愛してるの?そんなにつま先にキスしたい?


そこまで愛してません(笑)

Don't excuse.

太ってるからとか、手足が短いからとか、体が硬いからとか、自分に言い訳をしない。
「あなたのヨガ」なのよ。


はい、手足も短いし、前屈も苦手で、お腹もぷよぷよしていますが、
全部含めて私です!私のヨガです!


と、ここまで書いてきたことだけを見ると、常に先生の手取り足取り指導によって
ヨガをやっているように感じられるかもしれないですが、そうでもないんですよね。
先生の言葉や指導で理解できないところは、やっぱり自分の頭と体を使って使って、
いろいろ考えたり試したりないといけないし。
先生の言葉ではなく、動きや呼吸から何かを盗む時もあるし。


それから、これらは基本的にレッドクラス(先生に教わるクラス)中に聞いた言葉です。
前にも書いたようにこれとマイソールクラス(自主練のクラス)を組み合わせるのが
アシュタンガヨガの練習方法。
マイソールの時は自分で問題発見、問題解決していく必要もあります。
先生はそれに手を貸してくれる感じ。


私がこれまで学校やお稽古事で体験してきたメソッドとは随分違うなあと思います。
中国の教育やお稽古事事情は日本よりももっと厳しいけれど、もっと受動的だから、
感じる違和感はもっと大きいんじゃないかな。
周りの中国人の生徒さんを見ているとそう思うことが良くあります。
競争心は強く、ガリガリやる。「何か教えろ!」という態度で、主体性が薄い。


たとえば、先生が「この人にはアジャストできないなあ(しても無駄)」と思って
アジャストをやらないでいると、「あの先生は私にアジャストしてくれない!」という
苦情がスタジオのフロントに来たりするらしいです。
先生は全く気にしてないみたいだけど。


これがこないだ読んだ外山滋比古の本に書いてあることとちょっと被るなあ、と。

グライダーと飛行機は遠くからみると、似ている。空を飛ぶのも同じで、グライダーが
音もなく優雅に滑空しているさまは、飛行機よりもむしろ美しいくらいだ。
ただ、悲しいかな、自力では飛ぶことができない。

(中略)

人間には、グライダー能力と飛行機能力とがある。受動的に知識を得るのが前者、
自分でものごとを発明するのが後者である。両者はひとりの人間の中に同居している。
グライダー能力をまったく欠いていては、基本的知識すら習得できない。
何も知らないで、独力で飛ぼうとすれば、どんな事故になるかわからない。

しかし、現実には、グライダー能力が圧倒的で、飛行機能力はまるでなし、という
”優秀な”人間がたくさんいることもたしかで、しかも、そういう人も”翔べる”
という評価を受けているのである。

(中略)

指導者がいて、目標がはっきりしているところではグライダー能力が高く評価
されるけれども、新しい文化の創造には飛行機能力が不可欠である。それを
学校教育はむしろ抑圧してきた。急にそれをのばそうとすれば、さまざまな
困難がともなう。

外山先生がおっしゃるには、伝統芸能や昔の私塾の制度は自らエンジンを積んで飛べる
「飛行機型人間」を作るところで、今の学校は自力では飛べない「グライダー型人間」を
作るところになってしまっている、と。
なるほどなあと思いました。
多少の差異はあれ、日中ともグライダー型人間がゴロゴロしてるんでしょうね。私も含めて。


先生のレッスンも、何も考えずにただただ受けるだけなら、もしかしたらグライダーの
乗り方の訓練になるかもしれないけれど。
まさに「指導者がいて、目標がはっきりしているところ」だし。
でも、いつかはそれを噛み砕いて、消化して、自分のヨガにしないといけない。
私は、ヨガを通じてグライダーにエンジンを載せる訓練もしているような気がします。


最後にもう一言。

「自分のバンダは自分の脳からの命令に従う」

いやこれも当たり前なんですが、なんていうか私にとっては目からウロコでした。


飛行機型とグライダー型の話はこの本にに書いてあります。

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

最近自分で練習する時に使っているヨガの教科書です。
アシュタンガ・ヨーガ実践と探究 (GAIA BOOKS)

アシュタンガ・ヨーガ実践と探究 (GAIA BOOKS)


以上、とりとめもなく申し訳ない!