「食べる」と「飲む」
「食べる」と「飲む」。
おそらく私が世界で一番好きな言葉。
もちろん中国語にもこの言葉はあります。
それぞれ「吃(chi1)」と「喝(he1)」といいます。
ただし、上海を含む南方地方では「飲む」行為をする時にも「吃」を使ったりします。
もちろん「喝」も使うのですが。
年齢が高い人が使うことが多いようだけれども、若い子が使ってるのも聞いたことあるなあ。
たとえば、
コーヒーを飲む。「吃咖啡」
こんな高いお茶飲んだことないよ!「我没吃过那么贵的茶!」
といった感じ。
「吃」は昔からある言葉、つまり古語で、「喝」は比較的新しい言葉なのだそう。
昔は飲むと食べるの区別がなく、口からモノを入れる行為は一緒くただったんですね。
中国は今でこそ広大な領土を持つ国ですが、昔々はそう広い国ではありませんでした。
その後、国の発展につれて人々は新たな地を求めて南下を進めていったわけですが、
北の言葉が北でどんどん進化を続けていくのに比べ(今でも北京語は一番新しい中国語)、
南方には昔の言葉がわりとそのまま残っていたりするようです。
古語である「吃」が未だ南方で使われているのにも納得がいきますね。
良く考えると「吃」は元々「喫」という字。
あ、日本語にも「喫茶店」という言葉がありますね。
この言葉がいつの時代に日本へ伝わってきたのか私は知らないのですが、
当時「喝」という言葉がなかったことは分かりますね。
そういえば高校の古典の時間にならったけれど、日本でも方言には古語が良く残っているそう。
長崎でもちょっと年取った人が、びっくりした時に「たまがったー!」と言うけれど、
これは元々「魂消る(たまがる)」という古語。
その後「たまげる」へ変化していったんですね。
同じ南方人(私は日本の南方人)として、ちょっと共感を覚えちゃう。
また、中国語と言えば北京語、と言ったところがあり、まあ実際そうでなのですが、
中国各地に住んでいる人はそれぞれが持つ方言にプライドを持っています。
ここにも同じく共感、かな。