「中国人の心理と行動」

「中国人は○○○」みたいな行動論をまとめた本がないわけではないけれど、
読んでみても内容が結構軽いものばかりで、今までずっと物足りなく思っていました。
でもこの本は良かった!オヌヌメ

中国人の心理と行動 (NHKブックス)

中国人の心理と行動 (NHKブックス)


本文中で特に心に残った部分が2カ所。


先に2人の有識者による「中国人とアメリカ人は似ている」という話と、
「中国人とフランス人は似ている」という話を挙げておきつつ、
(2人の共通点は「中国人の自我の強さ」)、後ほど筆者はこう述べます。

冒頭で指摘したように、日本人の中には中国人を「欧米的」だとか「アメリカ的」だと形容するものが少なくないが(※ちなみに私もそう思っていました(笑))、これは、面子が個人の能力評価と大いに係っており、中国人が自己中心的であることに原因がある。これが西洋の個人主義とは別物であることは明らかだ。


他研究者の論を引いていらっしゃいましたが、

  • 中国人は「公」を重んじながらも、他方で西洋に見られる公共道徳が欠如している
  • 西洋人は絶対的な「私」の存在を認めるがゆえに、公共道徳を守ろうとする

なので、中国人の行動洋式は、西洋の個人主義とは似て否なるものだと。
なるほどなあと思いました。


そしてもう1つ。

筆者は以前、中国の精神病院を視察した経験をもつ、ある日本人の精神分析家から、「日本人の場合、相手の期待に沿えないでノイローゼになるケースが多いが、中国人の場合は相手が自分を理解してくれないと思ってノイローゼになるケースが多い」という趣旨の話を聞いたことがある。ノイローゼになる原因が、ソトに向かうかウチに向かうかで、日本と中国で違いが見られるというのだ。

な、なんか身体値で「す、すごく良く分かる!」と思ってしまいました…。


で、この他にも具体的なエピソードや検証がいっぱい!
中国を理解するためには、とにもかくにもまず「面子」やら「関係」やらを
理解することが重要なのですが、これがとても丁寧に解説されている本でした。


憂慮すべきことと言えば、中国や中国人のことを良く知らない人がこの本を読むと
中国嫌いになっちゃうんじゃないかなあ、ということ。
筆者も最後の方でこのことを心配されていました。


人の好みなんて自由なので、何を好きになろうと嫌いになろうともちろん構わないのですが、
中国という国、中国人という人(というくくりも難しい。なんせ一つの国としては広すぎる)は
結構面白いので、食わず嫌いっていうのはちょっともったいないかなあと。
私はそう思います!


他にも最近読んだ本はいくつかあるんだけど、紹介できてないなあ。。。