勝ち組

人生に勝ち組も負け組もない。
そう思います。そう思いますが。
あの瞬間、間違いなく私は勝ち組でした。


日食の話であります。


日本も大本命の地が惨敗だったり、中国も上海が雷雨だったりした今回の日食。
友人がテレビニュースをチェックしたところ、中国では6カ所から中継をしていた模様。
その内まともに見れたのは2〜3カ所で、その内の一つ浙江省湖州市安吉に私はいました。
森田正光さんもここにいたみたいですね。
http://blogs.yahoo.co.jp/wth_map/58246351.html


7月21日夜に上海を出発し、バスに3時間半揺られて湖州(杭州の近く)に到着。
道中、恐ろしいほどの雷雨に見舞われ、稲光も見続け、翌日の天気に不安を覚えましたが、
「これはきっと明日に備えての人口降雨」という友の力強い言葉に励まされました。


もしかしたら、実際そうだったのかもしれません。


7月22日6時半前に宿を出て、私たちが向かったのは「江南天地」。
日食中心線に近い海抜900mの山の上。大きなダムがある公園です。
ここがどうやら中国の天文台の最大推奨地だったらしいんですね。


中国はおろか韓国の天文台も巨大望遠鏡を据え(もちろん警備付き)、

欧米からのツアー客も多く(ツアーごとに日食Tシャツを作っていた!)、


各テレビ局も中継準備万端であります。




うん。中国という国は、こんなところには雨を降らせません。


私は今回は撮影が目的ではなかったので三脚すら持って行きませんでしたが、
隣接エリアにいらっしゃった日本から来たツアーの皆さんはすごい装備でした。


ここ、やっぱり本命の観測地だったように思います。


そんな中、8:20頃から観測スタート。

椅子に座って快適よ〜ん。


たまに雲がかかることはありましたが、まあ全く問題なかったです。
あと、ダムのそばだから涼しくて良かったー。
隣の小学生からアルミホイルを借りて(奪って)写真を撮ったり、
観測グラスの性能を試している間にも太陽はどんどん欠けていきます。
9:33に向けて。


あれ、薄暗くなった?あれ、ひんやりする?あれ、何だこの強い風?
(太陽光が当たる地域と当たらない地域が発生するので、空気の流れが起きて風になる。)
さらに暗くなる。ヒグラシが鳴き始める。さらに寒くなる。夜の虫が鳴き始める。
観測グラスを通さないと分からない太陽が欠けていく姿よりも、
周りの状況の変化の方がすごいのです。


そういえばマンションにも「日食の影響でペットが暴れるかもしれないから
ちゃんとつないでおいてください」って貼り紙があったなあ。
なんて思っている内に、太陽と月が重なろうとしていたので、必死に観測しました。
うわ、うわ、もう少しでくっつく!太陽なくなる!なくなった!
その瞬間、隣のツアーのガイドさんの声が響きました。


「皆さんグラスを外してください」


私はあの瞬間のことを一生忘れないと思います。
グラスを外したら、周りは真っ暗でうすら寒い。
空に星が輝いているのが見える!
「うわーーーー」思わず声がて、誰からともなく拍手が起きました。
欧米人はシャンパンを抜いてたみたい。


太陽にカメラを直接向けて撮った写真がコレ(この時間は大丈夫)。

ぽつんと赤く光っているのが星です。


いやあ、本当にすごい。本当に感動しました。
そして、太陽パワーのすごさをまざまざと思い知りました。
ちょっとでもその姿が見えていると、すごく明るいしあったかいのです。
皆既日食は、すごい。
部分日蝕は以前にも見たことはあったけれど、皆既日食は全然違う。
金環日食もやっぱり太陽が出ている部分がありはするので、これほどの感動はないのでは。


今回は6分間も隠れていたので(これは今世紀最長)、太陽のない世界というのが
一体どういうものなのかを堪能しました。
昔の人はそりゃあびっくりしただろうなあ。
インドでみんなが踊り出したと聞きましたがさもありなん。


ダイヤモンドリングも素敵でした。
でも、その後はみんな満足しちゃって、グダグダに。
「まだ太陽欠けてるよ(笑)」と言っても、さっきの暗さを体験した後では
感動が薄れちゃったんですねー。欠けてる間に退散を始めました。


実は当初の予定では、別のところから見る予定だったんですが、
少し前に場所を変更したんですね。これが吉と出ました。
上海や蘇州で見れなかったお友達、申し訳ない。ごめんなさいねーーーー。


というわけで、皆さん皆既日食は絶対見た方がいいです!!
あれは見ないと分からないです!!感じないと分からないです!!
この時期に上海に住んでいたことに感謝します。。